キッチン奥に木製スツール。
我が家にきてから、もうかれこれ20年近くたつ。
当時よく夫と足繁く通っていたアンティークショップで購入したもの。
アンティークショップというより、
古道具屋というべきか。
品揃えは大正から昭和初期の日本のものが多い印象だった。
懐かしい雰囲気でいっぱいの店内。
訪れるたびに欲しいものが見つかり、
何かしら持ち帰らずにはいられなかった。
木製の引き出しや本立て、サイドテーブル、小さな黒板。
新しいものにはない、
懐かしいような、味わい深いのものをインテリアとして所々に加えたくて、
小さな家具を購入することが多かった。
夫は古めかしい文房具。
クリップとか万年筆など購入していたのを覚えている。
手に入れたものは、
そのまま飾ることもあれば、
高さを変えてみたり、
元の用途とは違う使い方をしたり、
自分なりに創意工夫しながら使い続けていた。
引っ越しで何度か家が変わっていき、
インテリアの好みも少しずつ変化して、
借りた家の雰囲気にうまく合わせることができなくなったり、
置き場所がなくなったりで、
手に入れたものたちを段々と手放していった。
そんななか、唯一残ったのが、このスツール。
どんな目的で購入したのか覚えていないけれど、
丸みのある柔らかな形と優しい色合いに一目ぼれしたのは確か。
このスツール、
座面の裏側にかつての持ち主の住所と名前、日付が記入されている。
遠く離れた、小京都とも呼ばれる魅力ある地方都市名。
そんな歴史にも愛着がわく理由のひとつ。
いまだに、がたつきのない頑丈なつくり。
頑丈なのに、私でも片手で持ち上げられるくらい軽い。
ただ置いてあるだけでも絵になる。
部屋を飾るのが好きだった頃は、
雑貨を飾るスペースにもなった。
計画性なく、
手あたり次第直感で買い物したものの一つに違いないのだけど、
このスツールだけは買ってよかった、
つくづくそう思う。
見た目だけでなく、使い勝手もとてもいい。
調理中、ちょっと腰掛けたり、
上部収納の棚のものをとる際の踏み台にも、
エアコンの稼働中にはサーキュレーターの置き場にもなる。
いまはないけれど、
ソファがあったころには、
コーヒーテーブルにもなった。
訪問者が多かった頃は、
不足分の椅子としても重宝した。
軽くて移動させやすいので、
家中の高いところのものを取る際には欠かせない。
軽いから移動も億劫に思うことがない。
このスツールを踏み台にする私を見るたびに、
いつ足を滑らせて落ちるかと、ヒヤヒヤする、
と夫。
はた目には危なっかしく映るらしい。
それでもこのスツールに立てる体力があるうちは、
所有し続けたい。
月が変わり10月に。
今月も月初めにする家事をこなす。
スポンジの取り替え、洗濯槽のハイター浸け、水回りの排水パイプパイプ掃除、窓拭きとサッシの掃除、ペストコントロール。
カーテンレールと照明の拭き掃除、換気扇の掃除、にはスツールが欠かせない。
からりと晴れた気持ちのいい日になりそうな日曜日。
そんな日は、
いつも以上に掃除や片付けに精が出る。
スツール片手に、部屋中をウロウロすることにしようか。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。