リビングスペースにあるテレビボード。
その上に並んだ十数冊の本。
家族がそれぞれ持ち寄った本。
家庭内文庫のなごり。
いまはもうほとんど活用されていない
テレビボードの引き出しに、
これらの本を収納している。
小説あり、実用書あり。
家族の在宅期間がいまよりずっと長かった頃、
次男を除いて家族みんな、よく読書をした。
食後の団欒で、
本についての話題も多かった。
それぞれ読んだ本の感想を言ったり、
おすすめ本を教えあったり。
その時すすめられても、
読書中の本があると、
また今度読んでみるよ、 で終わってしまう。
息子達が小さなころは、
いつでも手に取れるように
絵本や図鑑をリビングに置いていた。
大人と同じような本を読むように成長してからは、
本の好みがそれぞれ違うので、
共有スペースに本棚や本を置くことがなくなった。
感動を分かち合いたい、という思いもあり、
おすすめの本を置いて、
それぞれ気が向いたときに読めるようなコーナーがあるといいね、
と。
家族で唯一、次男は読書を全くしない。
興味の幅がとても狭い。
少し本に触れて、世界をひろげてほしい、と私のひとりよがりな思い。
また、自分が若いころ、
どんな本を読んだらいいのかわからない時期があったので、
現在の息子達にこそ読んでほしい、
と思える本に出会ったら、
積極的に伝えたい。
感動を分かち合いたいのと、
次男の読書を促進したい、
そんな思いから、
家庭内文庫を設置。
本棚を購入するのも検討したけれど、
家具を増やすことに抵抗があり、
とりあえずはテレビボードの上に本を並べてみた。
目新しさもあり、
それぞれが本を持ち寄り、
ときどきページをめくり、
次に読む候補を選ぶこともあった。
並べる本も順調に増えていった。
だけど、肝心の次男は、
本がそこにあるのを気づいていないかのように、
見向きもしない。
そして段々世間が通常モードに戻ってくると、
みなそれぞれ忙しくなり、
読書に割く時間も短くなっていった。
そうなると益々、
家庭内文庫の役割がなくなり、
おすすめコーナーではなく、
インテリアの一部になってしまった。
テレビボードだけなら、
さっとほこりをふき取るだけですむので、
掃除もまめにする。
そこに、本を何冊かあるだけで途端に掃除が面倒になり、
気が付くと本の上にほこりがたまる始末。
もう誰も触れないなら、
一層引き出しの中に収納してしまおう。
引き出しにしまいこんで、数か月。
まだ持ち寄った本はそのまま。
取り出して並べてみたけれど、
もうここにある必要はないかな。
家庭内文庫
とてもいい案だと思ったけれど、
定着しなかった我が家のボツ企画。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。